「その子たちに、お礼言わなきゃ!」



どこかへ行こうとする颯汰先輩を止める里紗先輩。

だけど、颯汰先輩は止まることなく……。


テンション高いなぁ。

そんな颯汰先輩を追いかけに里紗先輩もどこかへ行ってしまった。

お似合いのカップルだ。



「芽衣」

「はい」

「後夜祭の花火、見に行こう?」



奏多先輩からのお誘い。

嬉しい。

本当は今すぐ行きたいけど。

でも、その前に。



「その前に、私の教室に来てくれませんか?」



多分、頭にハテナマーク浮かべているであろう奏多先輩を連れて、教室へ向かう。


どうしても、今日。

渡したいものがあったんだ。


教室はガラン、としていて誰もいなかった。

教室に入る私と奏多先輩。

私は自分のロッカーへ向かい、丁寧にラッピングした袋を取り出す。

それを抱えて、窓際で校庭を見つめていた奏多先輩に近寄る。