ねこ先輩に「好き」を伝える方法。

「……緊張している?」



奏多先輩がそっと声をかけてくれる。

私は奏多先輩に微笑んで、首を横に振る。



「緊張より、今は楽しみたいです」

「そうだね」



奏多先輩が微笑み返してくれる。



「そういえば、」



私が口を開きかけた瞬間。

バンッ、と体育館の明かりが消える。

真っ暗になった体育館。

奏多先輩の姿も見えない。



「奏多先輩……」



私は小さく奏多先輩の名前をつぶやく。



「ここにいるよ」



握る手に力が入ったのが分かった。

私も強く握り返す。


……始まるんだ。



「みなさーん! 文化祭は盛り上がっていますかぁーっ」



里紗先輩の元気な声が体育館に響き渡る。

同時にスポットライトが光る。

多分、里紗先輩に光が集中しているんだろう。

少しだけ明るくなった体育館。

里紗先輩の声に、ステージ下に集まっているだろう生徒たちが歓声をあげる。