ねこ先輩に「好き」を伝える方法。

……そうだよね。

私ひとりじゃない。

怖いものなんてない。

私は奏多先輩の手を握り返した。



「えー、じゃあ、段取りの確認をします」



聞き覚えのある声がマイクを通してスピーカーから聞こえる。



「里紗先輩!」



思わず声を上げる。

ハッとする私。

気が付けば、再び視線が投げられていた。

そんな空気に気が付いたのか、ステージ上に立っていた里紗先輩が私を見る。


そしてマイク越しに一言。



「その衣装でコンテストを盛り上げてくれるのね。ありがとう」



里紗先輩が微笑む。


……また助けてもらっちゃった。

この衣装で体育館に来たこと。

他の参加者から非難の声を浴びせられていたこと。

それを、前向きな言葉に変えてくれたこと。


安堵したのか、体に入っていた力が抜けた。