「昨日、見ちゃったんだよねぇ。望月さんが、結城先輩に迫っているところ」

「えっ……」

「無理矢理、気持ち押し付けていたでしょ」



そう言ってあざ笑うような彼女。

その彼女の言葉は教室中に響いて。

教室がザワザワする。



「しかも、その左手のピンキーリングは、結城先輩の大事なものらしいじゃん?」



それは違う。

そう否定したかったのに、否定することができなかった。

耳にまで届く、攻撃的な言葉。



『泥棒?』

『結城先輩相手にカツアゲ的な?』

『人格、疑うわ』



違う。

違うっ。

このピンキーリングは、お母さんの形見なのに。


堪えるのが精一杯の私に近寄ってくるクラスメイト。

そのまま私の左手を掴んだと思ったら、ピンキーリングを奪っていった。