ねこ先輩に「好き」を伝える方法。

ずっと好きだった。

会うことは出来ない人だと思っていた。

だけど、会うことができて。

直接、声を聞くことができて。

触れることができて。

それ以上の幸せってあるのかな。


そう思ったら、大粒の涙は止まることを知らなかった。



「ふぇぇ、」



私が泣くと奏多先輩はいつもの明るい笑顔になる。


ぐいっ。

体が引き寄せられたかと思ったら、すっぽりと奏多先輩の腕の中におさまっていた。

びっくりして、抱きしめられた腕の中から顔を上げる。

奏多先輩を涙目で見つめる私。



「芽衣は本当にワンコだね」

「そんなこと、」

「あるよ」



奏多先輩は私のふわふわとした髪の毛を撫でてくれる。

……気持ち良いな。

このまま時間が止まればいいのに。

今、この時間を刻む音が、奏多先輩の心臓の音なんだと思う。

奏多先輩の鼓動が聞こえる。



「芽衣」



奏多先輩は私を抱きしめたまま、私の名前を呼ぶ。

その言葉の続きを待つ。

心臓の音が早くなる。