「どの衣装作ればいい?」



そう言って、私に近寄る彼女。

戸惑いつつも、完成させたところまでを伝えた。



「すごい……。望月さん、裁縫上手なんだね」

「趣味、だから」



決して弾んでいる会話ではないけれど。

私に話しかけてくれることが嬉しかった。


でも、突然どうしたんだろう。

他の2人はどうしたのかな。


心の中でハテナマークを浮かべていると、心を見透かされたように彼女は話し始めた。



「私、本当は望月さんと話してみたかったの」

「え……」

「だけど、話しかけたら私が仲間外れにされちゃうと思って、話しかけられなかった」



彼女の本音。

私と話したいって思ってくれていたことも。

話しかけた後のことを考えた恐怖も。

全部本音なんだろうな、って思った。



「今日だって、望月さんがせっかく話しかけてくれたのに、あんな態度とっちゃってごめん」



頭を下げる彼女。

慌てて頭をあげさせる。

目が合う私たち。

顔を見合わせると、2人でクスッと笑った。



「あのとき、話しかけてくれてありがとう」

「……戻ってきて、話しかけてくれてありがとう」