『嘘だよ。覚えているから』

「本当ですかー?」

『うん。だから、お弁当袋、作っておいてね』

「はいっ!」



楽しくて、幸せな時間はあっという間に過ぎる。

時計を見れば、日付が変わっていた。

そろそろ電話切らなくちゃ、授業中眠くなっちゃうかな。

ユウさんも受験生だし……。


電話、切らなくちゃいけないのに切りたくないな。

そう思っていると。



『そろそろ、寝るかぁ』



ユウさんが私の考えていることを口にした。

同じこと考えている……。

そう思うと、電話を切る寂しさがなくなった。

ユウさんと考えていることが一緒。

それだけで嬉しくなった。




「……おやすみなさい」

『おやすみ。また明日ね』

「はい。また明日」



ツーツー、と耳元で機械音が響く。

電話が切られてことを確認してから、画面を閉じる。