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 セリカが目を瞑ると、あたまの中にリレイニアの声が聞こえてきた。


『セリカ、あなたの中にあった癒やしの力を消失させます。その代わりほんの少しの祝福を与えます』

 癒やしの力の消失……。

 少しの祝福?


『セリカ……幸せに……』


 目を閉じていてもわかる強い光が落ち着いたのを感じ、セリカはそっと目を開いた。


 ここは……。


 そこは戦場だった。

 そしてセリカの膝の上に頭をのせ、胸には血痕を残すオウガ。

 先ほどリレイニア様に会っていたのは夢だったのだろうか?

 それならオウガは……。

 セリカは震える手でオウガの頬に触れる。すると少し顔を歪めたオウガが目を開けた。セリカを見つめるその瞳は美しく透き通る青い色、私の大好きなオウガの色だ。


 生きている……。


「オウガーー!!」

 セリカは泣きながらオウガを抱きしめると、オウガもセリカを抱きしめた。

 その様子を見守っていた騎士達から歓声が上がった。

「「「オウガ、生きてるぞ!!聖女様の力だ。万歳!!」」」