ねえ?

 オウガ聞こえる?

 私の歌声が聞こえてる?


 何の反応も示さないオウガに、セリカは語りかけるように歌った。そして紫水晶の様に輝く瞳から涙こぼれ落ち、オウガの頬をぬらしていく。

 どうして……どうして、こんなことになってしまったのか……。私はオウガと残り少ない人生をゆっくりと過ごしたかっただけなのに……それさえも、ゆるしてもらえないの。

 セリカはもう動かなくなってしまったオウガに聖女の力をこれでもかと発動させる。

 今までの全ての思いを歌に込めて。


 オウガ大好きよ。

 最初はあんなに睨みつけていたくせに、優しく見守り続けてくれた。

 ゆっくりと、私の凍った心を溶かし、愛してれた。
 
 どんなに私がワガママを言っても、受け入れてたくれた。

 両親の代わりに沢山、甘やかしてくれた。

 私はそんなあなたがいたから生きてこられた。

 あなたがいれば何もいらない。

 
 セリカは心の中でオウガに語りかける。


 ねえ?

 オウガ……あなたの青く透き通る、意思の強い瞳が好き。

 太陽のように光り輝く金色の髪が好き。

 セリカと呼ぶ、低く甘い優しい声が好き。

 時々意地悪なことを言った後、耳元で囁く声が好き。

 セリカと呼んだ後の笑顔が大好き……大好き。

 オウガ大好きよ……大好き。


 私はあなたを愛してる。