嫌だ……嫌だ、やだやだやだ……オウガ一人にしないって言ったじやない。死なないって約束したじゃない。短い私の命でも、一緒に生きてくれるって言ったじゃない。

 ダメよ。私から離れるなんてゆるさない。

 両親や領民達は助けられなかったけど、オウガは助けたい。後ろ手に掴まれていた手を思いっきり振り払いセリカはオウガに駆け寄った。オウガの胸に突き刺さっていた剣は抜き去られ、胸から大量の血があふれ出していた。今にも止まりそうな鼓動……ダメよ、オウガ逝ってはダメよ。セリカは口に噛まされていた布をほどこうと頭の後ろに手を伸ばした。

「セリカ泣かないで。大丈夫……愛している」

 掠れるような声の後、オウガの体からフッと力が抜け、生気が消えた。



 オウガ……?



 ダメよ。今、大丈夫って言ったじゃない。

 セリカは急いで布を取り去り震える唇で聖女の歌を歌った。


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 命を紡ぎ空へと舞う白き羽

 星の子よ生きなさい

 寄り添う魂よ

 よみがえれ

 あなたの幸せを願い、声に乗せて歌いましょう



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