*


 王城にてファルガルは苛立ちを隠せずにいた。

「オウガは何をやっているのだ!!釘を刺しておいたのに状況が何も変わらないとは……こちらには聖女がいるのだぞ。どうしてだ?」

「陛下、聖女様は重傷者のみに、その力を使っていらっしゃる様子で……。最近は重傷者も死にそうな者のみにその力を使っていらっしゃるとか」

「何だと!!なぜその様なことを?」

「聖女様の力は命を削る……それを知ったオウガの指示のようですな」

 この戦には勝たなければならない。あの小娘……聖女の力を持って生まれたくせに王族を馬鹿にしたような態度ばかりとる。両親を殺せば少しは従順になると思ったがそれも通用しなかった。最初こそおとなしくしていたが今では平気でこちらを睨みつける。聖女の力を持っている以上、殺されないと思っているのだろう。

 それなら……。

 ファルガルはファルロに伝令を出した。それは、かれから始まる最悪なシナリオに向けての、プロローグだった。