「知りたい?それを知って、おまえはどうする?」



 俺は……。

 

「知りたいんだ。本当のことを……本当の……」

 本当のあなたの姿を……。



「ふふふ……本当のことが知りたい……先ほど全て話したでしょう。両親を殺し民を殺し聖女を欲する王族達の話を!!誰も信じない!!あなたも信じない!!誰も私の話なんか信じない!!」

 両親が殺されてから……。

 いつだって私は一人。

 一人で戦ってきた。

 手を差し伸べてくれる人なんていなかった。

 布団の中で体を丸くして自分を慰めた。大丈夫まだやれると、頑張れると……それでも心が折れてしまう日もあった。

 それでも王族達に少しでも嫌な思いをさせられたらと……ここまで頑張ってきた。あいつらの悔しさに歪んだ顔が見られればと……。



 たった一人で戦ってきた、私の思いを誰も知らない。

 知りもしない。

 知ろうともしないくせに!!
 


 体が震える。



 怒りに揺らめく大気が音をたてた。セリカの体から静電気に似た放電がバチバチという音を立て始める。



 嫌だ……何これ?


 怖い……。


 セリカは握り絞めていた手のひらをそっと開いてみる。すると、更にバチバチと音を立て空気に広がっていく。 

 それがセリカの耳元でバチンッという大きな音をたてた。


「キャーー!!」


よろめいたセリカをオウガが抱きしめると、セリカの回りでバチバチと音をたてていた強い放電がオウガを襲った。

「くっ……」

オウガは苦しげに口を引き結んだが、セリカを離そうとはしなかった。

「セリカ様大丈夫ですか?」

セリカはオウガに抱きしめられ安堵していた。守られる嬉しさを久しぶりに感じ、体から力が抜けると怒りで音を立てていた放電が、大気が、元に戻っていく。

「オウガ……」

 セリカは筋肉のしっかりと付いた、オウガの大きな身体に抱きしめられ、意識を手放した。