頭を振り口に噛まされている布を緩められないかと試みるも、布はキツく頭の後ろで結ばれているらしく緩む様子はない。
なんでも言うことを聞くから、お願いもうやめて!!
お願いだから……。
お父様とお母様はもう助からないだろう。
それでも民は……一人でもいい。民達に罪はないのだから。
殺さないで……。
「う゛ーー!!ぐっう゛う゛ーー!!」
泣き叫ぶセリカの横で王が演劇でも見ているかのように楽しげに手を叩いている。
ゆるさない。
ゆるさない。
王ファルガル、そして王太子ファルロ、民を殺した騎士達も……。
絶対にゆるさない。
燃えさかる炎を見つめ涙を流すセリカの瞳が、紫水晶のように透き通る美しい色から、真っ赤に燃える赤い色へと変わっていく。
怒りに燃えるその瞳はゆらゆらと揺れ、炎をやどした。