離してよ、牙城くん。



そこから、いまに至るんだけど。



花葉の落ち込みようは、そうとう重症。


彼氏のリアくんにフラれたらしく、クッションに顔をうずめてグズグズと泣いている。




「花葉。とりあえず辛いことはいったん忘れて、どこかぱーっと遊びに行こう……っ?」




親友が傷心中のときにわたしができること。


それは限られているし、わたしがリアくんの代わりにはなれないから、慰めることしかできない。



だからこそ元気づけるために、花葉が好きなスイーツパラダイスに連れて行こうという提案をしたら、「行ぐぅぅっ……!!」と抱きつかれた。




もう……、可愛いなぁ。


花葉、リアくんのこと大好きだったもんね。




わたしも辛いけれど、この場でいちばんしんどいのは花葉だから、わたしの悲しさをぐっとこらえて明るい声を出した。



「うんっ、じゃあ、用意しよ……!」