離してよ、牙城くん。



意味深すぎる。

だけど、半ば強制的に頷かされた。



牙城くんは勘がいいから、すぐにわたしの嘘に気づくと思う。



それのせいで、逆に怒らせてしまったらどうしよう。

きっと、牙城くんは嘘をついたことを問いつめるだろうな。





……そのときは、そのときだ。

しっかり説明しよう。





ポジティブに考えて、淡路くんに向き直った。



……けれど、授業がはじまる合図の予鈴が鳴ってしまい、お互いもう口を開きはしなかった。






そのときはたぶん、なんにもわかっていなかった。















────淡路くんとお話するようになって、
それをきっかけに、たくさんのまみれた嘘と秘密が暴かれていくことなんて。