離してよ、牙城くん。



「わたしが、理由?」



驚いて目を見開いた。


だって、だって、ただ飴舐めるのか好きなだけだと思ってたから。



そんな理由……、わたしに嫌われそうだから、なんておかしいよ。




「あたりまえじゃん。
俺の世界はまじで百々ちゃんで回ってんだもん」




平然と言う牙城くん。


今度は不可抗力でもなんでもなく、キュンとした。



確かに煙草は吸って欲しくない。


そのストッパーにわたしがなってるんだと思うと嬉しくて頰が緩んでしまう。




「たまに揺らぎそーになるけど、そこは百々ちゃんの写真見てぐっと堪えてんの」



「……んん?」




ちょっと、まって?!




「牙城くん!写真ってなに?」



わたし、牙城くんに写真撮られたことないよ。

まず、いっしょに撮ったことすらない。