離してよ、牙城くん。



「いや、なんで牙城くんって棒つきキャンディいつも舐めてるんだろ……、って」



お気に入りなのか、よく葡萄味を含んでいる。

だからか、いつも牙城くんからは甘い匂いがするんだ。



わたしの問いかけに、彼は「あーね」と頷いた。




「俺のまわりでもさ、煙草とか未成年だけど吸ってるやついっぱいいんの」



急に煙草、なんて突拍子もないこと言われて驚いたけれど、とりあえずコクリと首を縦に振る。



たぶん、七々ちゃんのまわりにもそういうひとがいるからわかる。


不良って、そういうこともやっぱりしてるんだろう。



牙城くんはどうなのかな、と一抹の不安に囚われるけれど、そんな思いは必要なかったようで。





「誘われることけっこあるんだけど、百々ちゃんに会うときに煙草臭かったら嫌われそーじゃん。
だから、断る理由として、口に飴入れてんの」