離してよ、牙城くん。



「そ、そりゃあ……、がじょーくんがかっこいいこと言うから」


「へえ?俺のが照れるわ」




わたしから距離をとったかと思うと、牙城くんはポケットから棒つきキャンディーを出して口に含んだ。


今日はパープル。たぶん葡萄味。




甘い匂いが漂ってくる。


飴じゃなくて、お昼だからご飯食べればいいのに。




いまこのタイミングでなんで飴なのかよくわからないけど、牙城くんはほんとに気分屋だからきっと意味はないんだと思って口を閉ざした。




「ん?羨ましー?」



棒つきキャンディー × 牙城くんはとにかく色っぽい。


わたしが持ってたらぜったい幼稚園児に見えるのに、この差はいったいなんなんだろう。





じーっと見すぎたせいで、牙城くんはわたしが飴を欲しいと勘違いしたみたいだ。