離してよ、牙城くん。



わたしが乱暴にすると思わなかったのか、床に肩がガツっと当たった牙城くんは、顔を歪めて言った。




「強い女はきらいじゃないよ、百々ちゃん」


「ふ、ふーんだ」



そんな言葉に、惑わされない。


というか、牙城くんちょっと目が笑ってない。怖い。



ちょっとやりすぎたかな、後悔するけれど、彼はあっさり起き上がって伸びをした。


肩が床に強打しても牙城くんにとっては痛くも痒くもないようで。






「俺よりは弱いんだから、守られなよ」





本気かウソかわからないトーンでそんなことを呟いてくる。





……っ、なにもう。





キュンときちゃった。

不可抗力、だから仕方ない。




「あれー百々ちゃん照れてんの?」



クスクスと意地悪い笑みを浮かべて、牙城くんはわたしの顔をのぞいてくる。