離してよ、牙城くん。



そのあと、牙城くんは少しだけスマホを操作し、ふわっとあくびをひとつ。


眠いのかな、と見つめていると、ドサっとわたしの上に乗っかってきた。




「うぐっ……、牙城く、重いよ……」


「ひ弱だね」



「ハァン?!合気道!」


「おーいももちゃーんキャラ変わってるよー……」




「あっ、つい……」




よく、同年代の男の子たちにからかわれていたから。


弱いくせに来んな、とか、小さいやついると迷惑だ、とか。




そうからかってきた男の子たちには、強かった七々ちゃんが制裁をしていたんだけど。



守られるだけじゃ、嫌だ。



そう思って、わたしも七々ちゃんとおなじくらい強くなったんだから。






ばかにしたら、例え牙城くんでも跳ね飛ばすもんね!






「ていやっ!」





巻きついてくる牙城くんを引っ剥がし、プイッと明後日の方を向く。