『────っでも、渚さんいないとこっちやばいんすよ!!』
彼のスマホから、そんな悲痛な声が漏れてくる。
「だいじょーぶだって。
俺いなくても【相楽】くらい百々ちゃんの猫パンチでもイケるから」
『はい??
……ってか、マジで渚さんしか止められるひといないんですって!』
「椎名いるじゃん」
『だから、そうじゃなくて人質とられてるんですよ!“あの人”がっ____』
「あいつなら俺いなくても平気だって。
人質とか、どうせ罠だろ」
『でもっ』
「あいつに関しては、俺に頼むの本気でやめてくんねー?
そんなことより、俺、百々ちゃんといるから邪魔しないでね」
『いまはその女よりも、な──っ』
────ブチッ
「…………がじょーくん、」
「なーに、百々ちゃん」
「……そんなに乱暴に通話切っちゃって大丈夫なの?」