「よっ……」
「うわ、……危ねえ」
牙城くんの腕から飛び降りたわたしに、彼は慌ててわたしの身の安全を確認する。
だいじょうぶ?と何度も聞いてくる牙城くんにうなずきながら、頰がだらしなくゆるむ。
本当に心配性なんだから……、と呆れつつも、それすらも愛に感じて、心がうんと優しい気持ちになった気がした。
「……ねえ、牙城くん。わたし、これからいっぱい話すから、聞いてね」
少しだけ、牙城くんから距離を取るわたし。
不思議そうな表情をして、首をかしげる牙城くんに、にっと笑う。
……牙城くん、いっぱいいっぱい待たせたね。
出会ってからずいぶん時間が経ったけれど、いまもとなりにいること、いさせてもらってること。
本当はずっと、たくさん、ありがとうって伝えたいの。