離してよ、牙城くん。



「最近よく百々によく絡んでるな〜って思ってたんだよ!」



ウフフフと奇妙な微笑みを浮かべる花葉。

どうやら、牙城くんのことはご存知らしい。



でも、それもそうかと思う。



牙城くんは最近 割と高頻度でわたしと話すようになったから、花葉が知っているのもまったくおかしくない。



なんてったって、とりあえず牙城くんは有名人でもあるから。



牙城くんのことを考えていたら、改めて思う。



……牙城くんって、ほんとに不思議な人だなあ。


読めなさすぎて、だからこそ気になってしまう。




わたしによく絡むのも、ぜったい気分だ。


飽きたらポイっと、何事もなかったかのように捨てられてしまう。



そうなったら悲しいな、耐えられるかなと思いながら、

そのままふたりで学校まで歩いていると。





「よっす、百々ちゃん」




後ろから、むぎゅっと潰されるかと思うほど強い力で抱きついてきたのは……、うわさの牙城くんだ。



「うぐっ……、がじょ、くん、力強いよ……」


「えー、俺の愛の大きさだねー」



「は、離して……!」