離してよ、牙城くん。





「ま、どっちにしろ、俺は諦めるしか線はなさそうだなー」


「あ''? なに。エミ、百々ちゃん狙ってたわけ?」




「え、知らないの? 牙城に内緒で朝倉さんと、あんなことやこんなこと……」


「わ、わあー!!」




ちょっと、淡路くん?!

あんなことやこんなことって、何……?!




わたしたち、健全な仲だよね……?!




慌てて遮ったわたしに、牙城くんは口元をヒクつかせて尋ねてくる。




「は? 百々ちゃん、こいつとなんかあんの? あ?」


「な、なななんにもないよ……?! さっきのは焦っただけで……」




否定することで余計に怪しくなるなんて、なんで考えなかったんだわたし……っ!


牙城くんのお怒りを被らないよう、身を縮こまらせる。