離してよ、牙城くん。




「んーん、俺の片想い」


「……牙城のカタオモイ?」





わたしが何かを言うまえに、牙城くんは平然と口にする。


カタオモイ、だなんて。

合ってるようで、合ってない。



否定したくてもできない状況なんだって思い知る。





……きっと、言いづらいわたしに代わって、そう答えてくれたんだよね。


牙城くん、やっぱり優しいや。

出会ったときからなんにも変わらない。





……また、胸がきゅーっとなる。


ドキドキと高鳴る鼓動。

触れるだけで熱い頰。


もう少し近づきたい、誘う衝動。




ぜんぶぜんぶ、牙城くんにしかない感情。


牙城くんには、ほかの女の子を見てほしくないと思う。

だれよりも、わたしを見ていてほしいと思う。