離してよ、牙城くん。




予約は何ヶ月待ち、当たり前に席が取れず、大人気なスイーツ専門店シュガガ。

もしかしたらずるい手かもしれないけれど、こんなに喜んでいる花葉を見たら、きっとだれも恨めない。


その証拠に、淡路くんもやわらかい笑顔だ。




花葉は感動したあげく、涙を流していて。


すごく椎名さんが好きなんだなあ……。





なんだかわたしも甘えたくなってきて、牙城くんに少しだけ寄り添った。





「どーしたの、百々ちゃん?」





何やらメッセージのやり取りをしていたみたい。

牙城くんは、近づいたわたしから遠ざけるように、瞬時にスマホをポケットに直した。




不自然な様子にならないよう、彼はわたしを後ろから包みこむ。