離してよ、牙城くん。




「言ってなかったっけ?
シュガガって、俺の親が経営してんだよね」


「……えええっ?!」




き、聞いてないよ?!

前も、そんなこと言ってくれなかった……。




花葉を見ると、彼女も驚いて開いた口がふさがっていない。




それじゃあ、このまえ牙城くんがくれたVIPチケットって……。




「そうだよ。いちおう牙城にあげたんだけど、きっと使わないだろうなって思ってたら、朝倉さんが店内にいたからピーンと来たよ」


「そうとも知らず、ごめんなさい……」





「ううん。うちの店にいるお客さんが幸せそうな顔して出て行くの見ると、嬉しいものだからさ」