離してよ、牙城くん。





いつも、弱い自分が嫌いだった。


だれかに守られてばかりの自分がすごく嫌だった。





だけど、牙城くんに守られるのはわるくない、そう思ったんだ。






「……うん、ごめん。百々ちゃんごめん」





わたしの震える背中を撫でながら、牙城くんは聞き流しそうなほど小さな声で謝った。


なんで牙城くんが謝るの、そう尋ねようと口を開いたけど、彼はわたしの肩に顔を押しつけて倒れ込んできたから、やめた。




「……俺、百々ちゃんだけのために生きてるのに。
百々ちゃん守れない自分が、死ぬほど嫌い」


「がじょ、くん……」




「……こうなったのも、俺のせいだよな。俺が、ちゃんと見張ってなかったから」



「……」




「いちばん大切な女の子ひとり守れないとか、俺ほんっと情けな……」








「……〜〜牙城くんっ!」