離してよ、牙城くん。






目が、据わっていた。


佐藤さんたちが危ない、って直感的におもってしまった。




もちろん、ひどいことをされたのはわたしかもしれない。

けれど、こんなに獣のような彼は、何をするのかわからなかった。



……牙城くんが、怖い。


わたしには、ぜったいに殺気立たない彼が。





ほかの誰もが恐れる、“牙城渚”がここにいる気がして、言葉が出なかった。






「……わたしが、まちがえて鍵が壊れてる教室に入っちゃっただけだ、から」


「んなわけねえだろ。女子に連れられて旧校舎に行く百々ちゃん見たってやつに証言とってんだよ」




……それなら、わたしに言わせないでよ。






「これも、そいつらに殴られた?」