必死な声。
急いだのか、荒れた吐息。
どれも、いつものよゆうな牙城くんじゃなくて、また涙を誘う。
「が、じょうくん……っ!」
ごめんね、牙城くんって。
強くないわたしのせいでこんなことにって言わないといけないのに。
来てくれてありがとう、しか言えないよ。
わたしの声に反応し、牙城くんはガチャガチャと扉を開けようと試みる。
外からは取っ手があるし、開けられるはずだけれど、鍵は佐藤さんたちが持っているのか不可能だ。
牙城くんの荒々しさに、もどかしい思いを抱えているのはわかる。
でも、先生を呼ばないと、無理なのかも……。
そう思った、瞬間。
「百々ちゃん閉じ込めるとか、ほんっと……、いい度胸してるよなあ?」
地を這うような低い声がしたと思えば、ガァァンッと鈍い音がして、扉が外れた音がした。



