離してよ、牙城くん。



共感を求めるように2人に問いかけた佐藤さん。


どうやらあの人とは、周知の事実なのか、気まずそうに2人はそろってうなずいた。




……もやもやと、心に黒い渦が巻いた。





「近いうちに傷つくのは、朝倉さんかもね」





どういうことですか、だなんて聞けなかった。



ひんやりとしたわたしの心は、牙城くんの温もりを不足していて。








「……せいぜい牙城くんに愛想振りまいとけばいいんじゃない」






内側の取っ手が壊れた扉を開けて出て行った佐藤さんたちは、わたしが何も言わないと感じると、外側から鍵をかけて出て行った。