「……あのさ、朝倉さん。牙城くんと仲良いんだっけ」
あまり牙城くんの名前を大きな声で言えないのか、小さく尋ねてくる彼女。
ブレザーを見ると、名前は佐藤さんというらしい。
この3人の中ではボスっぽい雰囲気がある女の子。
とっても美人で、きっと、牙城くんのファンなんだと思う。
「仲良い、です」
否定はせずに、うなずいた。
肯定することが、佐藤さんの癪に触ることはわかっていたけれど、それは譲れなかった。
牙城くんとは、毎日ほぼ一緒にいるんだよ。
それで、仲良くないってほうが変だもの。
まっすぐ彼女を見つめると、
佐藤さんは、わたしの言葉に案の定、顔をしかめた。
「……っどうして、朝倉さんなの?」