わたしは、牙城くんがいないとだめだと思う。


きっと、唯一無二の存在。





だれにも、渡したくない。


わたしだけを見ていてほしい……、なんて、思う感情は。





牙城くんがうんとステキなひとに見える、彼が纏う雰囲気をつくるひとつの要素なのかもしれない。






「せっかくだけど、朝倉さん。牙城が面倒だから、お昼は遠慮しとくね」




牙城くんに噛みつかれてばかりの淡路くんは今日も爽やかな笑顔で、そう断った。


ようやくひと段落ついたのか、牙城くんは少しだけおとなしくなっていた。






「百々ちゃんとのラブラブお昼休みが死守されたということで、今日は唇にキスでも……」



……ように見えただけだったようだ。






「牙城くん……?! しないし、大きな声でそんなこと言わないで……!」