離してよ、牙城くん。



信じられない話に思わず頭を抱える。


けれど、文脈的には牙城くんは悪いことをしていないのかな?

一縷の望みがわたしの心を浮かせる。



けれど、そういうわけにはいかなさそうだ。




「“女狩り”をした奴の制裁は主に俺が行ってる。
まあ、ほぼ半殺し程度で済ませてやってんだけど」


「はんごろ……」




「アレに関しては、もう殺って消すしか道はねーよな」






アレ、と言って牙城くんがちらりと見たのは、
さっき絡んできた男の人……牙城くんに殴られて伸びてるけど。



殺す、……って。


そんな言葉をスラスラ口に出す牙城くんが信じられなくて、黙り込んでしまう。





「……ねえ、わかる? 百々ちゃん」




諭すように、ゆっくりと言葉を紡ぐ牙城くん。





「俺を怒らすと大変なことになるんだよ」






静かな怒りが、わたしに纏わりつく。


牙城くんを怒らせてしまったのは、わたしだ。

忠告を聞かなかったから。