花火よりどうしても青山君を見てしまう、でも青山君は花火に夢中で私の視線に気が付かない。


 嬉しいようなぁ……悲しいようなぁ……


 ほんの少し勇気を出せば手を触れあえる、触れたい気持ちだけは暴走しそう。


 「雪、カキ氷が水になるぞ、食べないのか?」


 かき氷に目を向ければ半分溶け始めている、慌てて口にすれば額がキーンとなり、ギュッと目を閉じる。


 青山君の大きな笑い声、私はじっと睨む。


 「そんな、顔をしても無駄、雪が食べなかったのが悪い」 と


 言いながら私の手を取りスプーンにのっていたかき氷をパクっと口にした。


 「薄いいちご味」

 私はビックリして口をバクパクしながら、これ何だっけえ~と最近は余計な言葉ばかり頭に浮かぶのに肝心な言葉が出てこない。


  「間接キス」口からハッキリと言葉が漏れた。


 暗闇で良く青山君の表情は分からないけど口元がニヤッとしたような気がする。


  頭のなかがパニック状態で花火どころではない。


 間接キス……しちゃったよ。


 思い出しただけで顔から湯気が出そうでした。