「無理して、笑わなくていい」


「あのね、小さい怜が私を起こしてくれたの。それでね......」


「涼音」


怜には、バレてた。


私も、ずっと震えてること。


「れいぃ」


「怖かったな」


さっきとは、まるで逆の立場になってしまった。


すがるように怜に抱きつくと優しく抱き締め返してくれる。


「怖かった。もう、誰にも会えないんじゃないかって」


冷たい海に沈んでしまうんじゃないかって。


もう、怜にも美奈にも、パパやママ、やっと話せるようになった部活のみんなにも会えないんじゃないかって。



「怜、助けてくれて、ありがとぉ」


もう、泣いてるから、自分がどんな顔してるのかわかんない。


ずっと繋がれてる怜の手。


普段、暖かい怜の手が今日は、冷たいのに安心する。


あと2日。


もう、あんな怜の顔、見たくない。