【完】狂犬は欲望中毒。






脱力しきった身体で精一杯、ギュッと左和季君を抱き締めた。



いつもグイグイくるくせに
こんな時だけ手を彷徨わせる左和季君は、諦めたように私を抱き締め返す。



「お前が怖い思いしたんだ、早くあいつ追わねーと……」


「……ううん、いい」


「……っ、イイわけあるか。俺が来なかったらお前……」


「……」



あえてその言葉の先を言わない左和季君の腕の中で、頬に涙が伝う。



知ってる。


もしかしたら大変なことになっていたかもしれない。



それにバイクなら、まだあの人を追うことができるかもしれない。



けど。



「お前のメッセージ見て焦った。
 こんな危ない状況で、頼むからひとりで帰ろうとすんな」


「……ごめんなさい」


「いや、巻き込んだのは俺だ。
 悪いのは俺だが、だからこそ何のためにお前の隣に俺がいるとおもってんだ」


「……」


「お前に何かあったらどうしようって、久しぶりに心臓止まりそうになった。」