【完】狂犬は欲望中毒。







男から距離をとったはいいけど、結局は倉庫内。


外には有栖川さん達がいるから逃げられないし。


だからと言って、建物の中で左和季君が来るまでやり過ごすなんて無理があったかも。



正直、力が抜けてしまった足で走るのは限界に近い。



さわきくん……早く来て。



いつの間にか涙が込み上げてきて視界が歪む。



すると。




「おーい」


「……っ」


「足止めてないで逃げろよ」



パニックに陥ってる間に、男が私の背後に立っていた。



転びそうな体をなんとか支えながら、また走り出すと。


無意識のうちに階段を上っていた。



それが駄目だったみたい。



「……うそ」



階段を上りきると、狭い二階は左一直線にしか進めない。


進んだ先にはドアがあって、ひとつの部屋があるけど、結局行き止まりでしかない。