「………明里さん」
「初めてだったの、あんな辛そうな顔をした陸を見たのは」
「………」
私たちの間に沈黙が訪れる。
周りには誰もいなくて、ただ聞こえてくるのは近くにある噴水の水音だけ。
「そんなに泣くくらい…あの人の事が好きなんですね」
木嶋さんの小さな声が静かに響き渡った。
「別に、もう好きじゃないから…っ」
そう強気に言い張るけれど、木嶋さんは表情を緩めない。
…………と、その時。
____♪♪
鞄の中から着信音が鳴った。
手で涙を拭ったあと、携帯を手に取れば、着信先は陸だとわかる。
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