突然襲いかかってきた大きな不安に、どうしようもない気持ちに陥っていたそんな時。


＿＿＿＿ピーンポーン


チャイムの音が部屋に鳴り響いた。

その音にハッとして、我に返る。
私…何か荷物頼んだっけ？

そう思いながら、いそいそと玄関へ向かい、ドアを開けた。


するとそこに立っていたのは、宅配ドライバーさんではなく……


｢明里、ごめん。電話通じなかったから来た｣


紛れもなく今1番会いたくない陸だった。


｢ど、どうしたの、急に｣


自然に振舞おうと思って必死に笑顔を取り繕い言葉を紡ごうとするけれど、ついどもってしまう。


何を考えているのか分からない陸の表情は、冷たさすらも感じられる。

……だけど、陸は元々そういう性格だった。

自分の感情を全くと言っていいほど表に出さない。

告白をした時も、喧嘩をした時も、キスをした時も……陸は自分のペースを全く乱すことはなかった。