どっちつかずで決断力のない自分を情けなく思いながら、小さくため息をついたそんな矢先、ぽんぽんと肩を叩かれて反射的に後ろへ振り向く。

そうすれば、そこに立っていたのはタイムリーにも雪だった。


「明里、おはよ〜!」

「雪、おはよ!」


私に比べて小柄な雪は、こういった満員電車では埋もれがち。だけど、小さいからこそ移動しやすいんだとこの前自慢げに言っていた。


私と目が合うと、あからさまに頬を緩める雪。

そして案の定、雪の口から飛び出したのは、あの件だった。


「明里〜どうだったの〜?記念日はっ!」


正直、この前まではいち早く雪に相談したい気持ちでいた。

だけど雪は、私と陸のことを本当に応援してくれていたから、正直少し言いにくい。

親友だと思っているから言うべきこともあるけど、逆に言わなくてもいいことだってある。

今回は、後者だ…と思う。


だから、この浮気問題は私ひとりで解決しなくちゃ。