「私の頬っぺたぶん殴っといて、なにか?じゃないっつーの!」
「ぶ、ぶん殴る!?」
「そう!!アンタ!絶対にアンタ!!」
なんて彼女は私を睨みつけながら仁王立ちしている。
だけど、どうしても身に覚えのない私は何を言うことも出来ず、ただ笑って誤魔化そうとしていた。
そんな私を気にかけてくれた陸は、「何かの間違いでは?」と彼女に言ってくれたが、そんな言葉には見向きもしなかった。
それどころか、彼女は私に再び罵声を浴びせようと大きな口を開いた。
ーーーが、その時。
「美愛、やめろ。お客さんだぞ」
恐らく奥の方にいたのであろう男性が、焦った表情で彼女に駆け寄り、腕を後ろに引きながらそう諭すように言葉を投げかけた。
それに不服そうな彼女は口を尖らせる。
「だって!この女、あん時の女じゃん!暁が勝手に連れてきてた裸足の!」
そんな言葉に男性の眉がピクリと動いた。そして、疑うようにしてゆっくりとこちらに向けられた顔を見て、私はつい椅子から立ち上がってしまった。



