そんな会話から約数十分歩いた私達は、煌々と光を放つ高層ビルへと到着した。
このビルの10階にあるフランス料理店の予約を取ってくれたらしい。
会社終わりでメイクも崩れてるし、会社の制服のままだし、場の空気に合わないんじゃ…と不安になりつつも、陸にリードされながらフランス料理店へと足を運ぶ。
そしてフランス料理店へ足を入れるや否や現れたフロントスタッフに声をかけられ、予約の有無を聞かれる。
それにもちろん陸は「はい」と答えるが、その確認しに行ってくれたフロントスタッフがなかなか戻ってこない。
嫌な予感がした矢先、申し訳なさそうな顔をしたフロントスタッフがこちらに走ってきた。
「申し訳ございません。どうやら何かの手違いで予約されていなかったようで…」
そんなフロントスタッフの言葉に申し訳なさそうな顔をした陸を見て、私はポンポンと背中を叩いた。
そして2人でぺこりと頭を下げた後、フランス料理店を出た。



