その反動で私は後ろに大きな音を立てて尻もちをつく。

けれど…痛いのは体ではなく、心だった。


次第に視界がぼやけはじめ、頬をスっと液体が伝う。


「雪のこと、本当に本当に大好きだったのに……!どうして、どうして陸と……っ」

「うるさい!!そうやってすぐ泣いて!偽善者ぶって!あんたのそういうところも本当に大っ嫌い!!」


雪の手が宙に大きく振り上げられる。

私は降ってくる痛みに耐えるために、反射的にきつく目を瞑った。


…………が、一向に襲ってこない痛みに私はゆっくりと瞼を開けた。


そうすれば……振り上げられた雪の手を掴んだ大きく肩を揺らす木嶋さんの姿があった。