と、そんな時。

路地裏の奥の方に人影が見えて、私は目を凝らした。そうすればそれは秋本陸だという事に気づき、私はニヤリと口角を上げた。


…………見つけた。


私は秋本陸に颯爽と近づき、まだ私に気づいてない秋本陸の肩をポンポンと叩いた。


「ここにいたんですねぇ」


私の方を振り向いた秋本陸にそう言って顔を覗き込むようにして笑いかければ、唖然とした顔で見つめられる。


「なんでお前がここに、」


なんて神妙に呟くもんだから、思わず吹き出してしまう。


「何が面白いんだよ」


そう言って私を見る秋本陸の目は、凍てつくほど冷たかった。

私は上がっていた口角をスっと元通りにすると、口を開いた。


「覚えてないんだね、本当に」