浮気 × 浮気



なにか割って入ろうかとも思ったけれど、二人が放つ異様な雰囲気に、私は口をはさめずにいた。


そうすれば急に雪がお腹を抑え始めた。


「……やばい〜、なんか急にお腹痛くなってきた…」


そう言って咄嗟に立ち上がった雪は「トイレ行ってくる」と慌てた様子で個室を飛び出して行った。


そして、個室に残されたのは私と木嶋さんの2人だけになった。

一瞥しただけでもわかる木嶋さんの機嫌の悪さ。

一体何に腹立てているのかは不明だけれど、とりあえず何か話さなきゃという使命感に追われ、私は言葉を紡いだ。


「私、じつは気になってた事があって」


そんな私の声に、俯かせていた顔を上げる木嶋さん。


「雪とは……前からの知り合いだったりするの?」


その質問の後、明らかに木嶋さんの表情が曇ったのが分かった。