アーサーの腕に自身の手を絡ませ、マリーはアーサーと共に歩き出した。

マリーとアーサーは一応恋人という関係である。しかし、周りからはマリーがアーサーをいいように使っているようにしか見えていない。マリーはアーサーにわがままばかり言い、中流貴族のアーサーのことをどこか見下して接しているのだ。

「あなたは私の婚約者。私に尽くす義務があるの」

マリーがそう言うと、アーサーは一瞬表情を曇らせた後、「はい、仰せのままに」と言う。マリーは満足げに微笑み、パーティーホールへと足を踏み入れた。

学園一の家柄で、もはやお嬢様ではなくお姫様のような扱いを受けているマリーのために用意されたパーティーは、有名音楽団がワルツを奏で、ホールのあちこちに美しい花や宝石が飾られ、豪華な料理が並んでいる。

「お姫様の私に相応しいパーティーね!」

マリーは微笑む。マリーが登場すると、みんなマリーを見て次々に「お誕生日、おめでとうございます」と声をかける。

華やかなパーティーは、マリーが飽きてしまうまで続けられた。