美人で少々気が強く、負けず嫌いな魔女がいた。

 その彼女がある恋をしたが相手は全く相手にしてくれず、彼女の想いは届かない。

「どうしてなの…!?私は美人だし、素晴らしい魔法も多く使えるのに、彼は私だけを見てくれない…!!」

 相手の気を惹くため、美しさと魔力に磨きを掛け、色仕掛けまでも。
 しかし相手は全く気にかけてくれなかった。

「悔しい…!!」

 その日魔女は生まれて初めて自分の城までの長い距離を歩く。
 なんだか無性に歩きたい気分だった。

「なんで、私を…どうしてなの…!?」

 歩き続けてかなりかかって、やっと自分の城に着いた。月はすでに真上に掛かっている。
 魔女は誰もいないのを確認してから息を整え、平然を装って中に入っていった。

「あなたたち!帰ってきたわよ!」

 彼女の声だけが響く。
 しかし今日はいつもの出迎えがない。

「コウモリ?ヘビ?カエル?私のお帰りよ??…誰か!おかえりなさいも無いの!?」

「かえるト、へび、けんかノアト
。寝テル」

 やっと来たのはチビのコウモリたった一匹。