「お客様、よくお似合いです。」
全身鏡の前で、その気になるお店の膝丈くらいのワンピースを試着させてもらう。
「どう…かな?」
不安になり、大翔先生の表情を確認した。
「沙奈は、何着ても似合うな。綺麗すぎるほど似合ってる。」
「…大翔先生、私これにする。」
ちょっと大きいような気がするけど、これがいい。
試着をしてみて、大翔先生に見てもらって初めてこんなにしっくりくるものに出会えた気がする。
「店員さん、これをお願いします。」
私の喜ぶ姿を見て、大翔先生は優しく微笑み店員さんにお会計をしてもらった。
可愛いブランドのロゴが入ったバックにワンピースを入れてくれた。
「大翔先生、ありがとうございます。」
「俺の方こそ、夢を叶えてくれてありがとうな。
少し、疲れたか?」
お店を出て、私達は車に戻った。
「うん。少しだけ。
でも、何だかちょっと分かった気がする。」
「分かった?」
「うん。私の欲しいものって言うのかな?
心にしっくり来るもの。
だけどまだ、誰かがいないと決められそうにないけど。」
「そうか。それでも、1歩前に進むことが出来たんじゃないのかな?
たくさんある品物の中で、たった1つの物を選ぶことができた。
その1歩は大きな成長に繋がるよ。」
「そっか、ありがとう。」
「沙奈のペースで、少しづつでいいから。」
私の額に大翔先生はそっと唇を落とした。
「よし、そしたら食材を買いに行こうか。
疲れただろうから、椅子を倒して眠ってて大丈夫だからね。」
「少し、休ませてもらうね。」
「これ、かけておきな。」
眠りにつこうとした私に、優しくバスタオルをかけてくれた。
居心地のいい車の中で、大翔先生の香りに包まれながら私は深い眠りについた。


