えっと、これは、ステップ……どれかのキス……彼の名前を呼ぼうとした口が塞がれてしまう。
 
「あの、より、ひ……」
 
これはもう一つレベルアップした……キス。紅茶の香り。まだ香りが残るくらいの……「美味しい紅茶ですね」思わず言ってしまって、彼の動きが止まり、肩が小刻みに揺れている。その振動が私にも伝わって、私も揺れる。
 
「あはは! もう、癒さるな。疲れたはずなんだけど、来てもらって良かった」
彼は一度私をぎゅっと抱き締めた後、体を離した。多分、これは、私が雰囲気をぶち壊したというのではないだろうか……。
 
「先に、眠ってしまっても大丈夫なように支度しようか。俺は疲れてるし、君は夜が弱い。終わったら、すぐ寝ちゃうかもね」
 
ティーカップを運ぶ彼の後ろに慌てて続く
 
「私が洗いますっ!」
「じゃあ、俺は風呂の準備」
 
そう言って、彼はバスルームへと向かった。泊まる方向で話は進んでいるらしい。それに、『終わったら』寝てしまうと彼は言った。何が終わったらなのか、それがわからないほど鈍くはないし、それはステップ何段目ですか?と聞いちゃうほど空気クラッシャーでもないので

ただ、緊張するにとどめた。ものすごい、緊張、だけれど。